【2026年最新版】敷地内に未登記建物があっても売却できる?名古屋の古い倉庫・屋根付き駐車場・物置・増築部分|登記義務・固定資産税・銀行融資・解体費用・契約不適合責任を徹底解説(運営:(株)愛知不動産売却センター)
はじめに|敷地内に登記されていない倉庫や車庫がある!このまま売却できる?
名古屋市内で古い戸建て住宅や店舗兼住宅、工場、事業用地などの売却を検討していると、敷地内に登記されていない建物が存在する場合があります。
例えば、次のようなケースです。
母屋の横に、昔から使用している古い倉庫がある
敷地の奥に、先代が建てた物置が残っている
鉄骨造の屋根付き駐車場がある
シャッター付きの車庫がある
店舗の裏側に、後から増築した部分がある
工場の敷地内に、登記されていない作業場がある
プレハブの倉庫を長年使用している
建物の所有者自身が、未登記であることを知らない場合もあります。
特に、相続した不動産では、親や祖父母が建てた倉庫や車庫について、建築時期や工事内容を把握していないケースも考えられます。
そして、売却を検討した際に初めて、
「この倉庫、登記されていませんね」
と指摘されることがあります。
このような状況で、所有者が気になるのは次の点ではないでしょうか。
「未登記建物があっても売却できるのか?」
「売却する前に登記しなければならないのか?」
「屋根付き駐車場も登記が必要なのか?」
「固定資産税を払っているのに、なぜ未登記なのか?」
「登記するより解体した方がよいのか?」
結論から申し上げると、敷地内に未登記建物が存在していても、不動産を売却できる可能性は十分にあります。
ただし、未登記建物の種類、所有関係、金融機関の融資条件などによって、必要な対応は異なります。
今回は、名古屋市内の不動産売却を中心に、未登記の倉庫・車庫・物置・増築部分がある場合の注意点を、不動産実務の視点から詳しく解説します。
第1章|そもそも未登記建物とは?
未登記建物とは、建物が現実に存在しているにもかかわらず、法務局の建物登記簿に登記されていない建物をいいます。
例えば、敷地内に母屋と倉庫がある場合です。
母屋については建物の登記事項証明書が取得できる。
しかし、倉庫については登記記録が存在しない。
このような場合、倉庫が未登記建物である可能性があります。
ただし、母屋の附属建物として登記されている場合もあるため、主たる建物の登記記録まで確認する必要があります。
未登記建物が存在する理由
未登記建物が発生する理由には、さまざまなものがあります。
例えば、建築当時に登記手続きをしていなかった場合です。
また、母屋を建築した後、倉庫や車庫を増築したものの、登記を変更していない場合もあります。
古い建物では、所有者が何度も変わっているうちに、登記の状況が分からなくなっているケースも考えられます。
重要なのは、未登記であることと、違法建築であることは同じではないという点です。
未登記建物でも建築基準法に適合している場合があります。
反対に、登記されている建物であっても、建築基準法上の問題が存在する可能性があります。
登記の問題と建築基準法上の問題は、分けて考える必要があります。
第2章|未登記建物があっても土地・建物を売却できる?
結論として、売却できる可能性があります。
未登記建物が存在することだけを理由に、土地や建物の売買契約が一律に禁止されるわけではありません。
ただし、売買契約を締結できることと、所有権の移転や金融機関の融資手続きが円滑に進むことは別の問題です。
現況のまま売却する方法
例えば、古い住宅と未登記倉庫がある土地を売却する場合です。
買主が、住宅と倉庫を含めて現況のまま購入することを希望しているのであれば、売却方法を検討できます。
ただし、倉庫が誰の所有物なのか、建物として登記が必要なのか、買主が将来どのように利用するのかなどを確認する必要があります。
未登記のまま売却すると何が問題になる?
未登記建物では、登記記録によって所有権を公示できません。
そのため、買主が第三者に対して権利を主張する場面や、将来の売却、融資などで問題になる可能性があります。
また、売買対象に含まれる建物の範囲が不明確なまま契約すると、引渡し後のトラブルにつながるおそれがあります。
未登記のまま売却する場合でも、建物の所在、構造、面積、所有関係などを可能な範囲で確認し、契約内容を明確にすることが重要です。
第3章|屋根付き駐車場は登記が必要?カーポートと車庫の違い
未登記建物の相談で、特に判断が難しいのが屋根付き駐車場です。
例えば、敷地内に鉄骨製のカーポートがある場合です。
屋根はあるものの、周囲に壁はない。
柱と屋根だけで構成されている。
このような設備は、必ずしも不動産登記法上の建物に該当するわけではありません。
登記対象となる建物の判断基準
一般的に、建物として登記できるかどうかは、次の要素を踏まえて判断されます。
① 土地への定着性
基礎などによって土地に定着しているか。
② 外気分断性
屋根や周壁などによって、外部と区分された空間が形成されているか。
③ 用途性
その構造によって、建物としての用途に利用できるか。
これらを総合的に判断します。
柱と屋根だけのカーポート
一般的な柱と屋根だけの開放型カーポートは、不動産登記上の建物に該当しない場合があります。
そのため、登記されていないこと自体が問題ではないケースもあります。
シャッター付きの車庫
一方、周囲が壁で囲まれ、シャッターが設置されている車庫では、建物として登記の対象になる可能性があります。
鉄骨造や木造など、構造だけで判断するものではありません。
実際の形状や利用状況を確認する必要があります。
建築基準法上は別の判断になる
ここで注意したいのが、建築基準法です。
不動産登記上の建物に該当しないカーポートでも、建築基準法上は建築物に該当する場合があります。
つまり、登記が不要だからといって、建築確認や建蔽率などの問題がないとは限りません。
第4章|古い倉庫・物置・プレハブは登記が必要?
敷地内に設置されている倉庫や物置も、構造によって取扱いが異なります。
基礎のある倉庫
例えば、コンクリート基礎の上に建てられた木造倉庫です。
屋根や壁があり、継続的に物品の保管に使用している場合には、登記対象となる建物に該当する可能性があります。
小型の物置
ホームセンターなどで販売されている小型物置については、設置方法や構造によって判断が異なります。
簡単に移動できる設備なのか。
基礎に固定されているのか。
外気から区分された空間として利用されているのか。
こうした点が重要です。
プレハブ倉庫
プレハブだから登記不要というわけではありません。
土地に定着し、屋根や壁を備え、建物として利用されている場合には、登記対象となる可能性があります。
コンテナ倉庫
コンテナについても、設置状況や利用方法によって判断が異なります。
単に置かれているだけなのか、土地に定着して継続的に利用されているのかなどを確認する必要があります。
倉庫や物置の名称だけで登記の要否を判断せず、土地家屋調査士などの専門家に確認することが重要です。
第5章|固定資産税を払っているのに未登記?その理由とは
ここは、不動産所有者が誤解しやすい部分です。
「毎年、倉庫の固定資産税を払っているから登記されているはず」
そう考えている方もいるかもしれません。
しかし、固定資産税の課税と法務局の建物登記は別の制度です。
未登記建物にも固定資産税が課税される場合がある
固定資産税は、登記されている建物だけを対象としているわけではありません。
未登記建物でも、地方税法上の家屋に該当し、課税要件を満たす場合には、固定資産税の対象となります。
そのため、固定資産税の課税明細書には倉庫が記載されているのに、法務局には登記記録が存在しないというケースも考えられます。
固定資産税の課税明細書を確認する
古い不動産を売却する際には、固定資産税・都市計画税の課税明細書を確認することをおすすめします。
登記されている建物と、課税されている建物の内容が一致しているか。
敷地内にある倉庫や車庫が課税対象になっているか。
こうした点を確認することで、未登記建物の存在に気づく場合があります。
ただし、課税明細書に記載されていないからといって、必ず登記不要の設備であるとは限りません。
未登記家屋の所有者変更手続き
未登記家屋を売買する場合、自治体の固定資産税担当部署に対して、所有者変更に関する届出が必要となることがあります。
この届出は、法務局での所有権移転登記とは異なります。
また、届出をしただけで、登記上の所有権が公示されるわけではありません。
第6章|未登記建物には登記義務がある?罰則は?
不動産登記法では、建物を新築した場合、原則として所有者は所有権の取得の日から1か月以内に建物表題登記を申請する義務があります。
また、登記されている建物に増築などによる変更が生じた場合には、原則として変更の日から1か月以内に建物表題部の変更登記を申請する必要があります。
正当な理由なく申請を怠った場合には、10万円以下の過料の対象となる規定があります。
古い未登記建物でも登記義務は問題になる?
建物として登記対象となるものであれば、古い建物であることだけを理由に登記義務がなくなるわけではありません。
ただし、実際に登記できる建物なのか、誰が申請義務を負うのかなどは、個別の事情を確認する必要があります。
売却するなら必ず売主が登記する?
売買を円滑に進めるため、売主側で表題登記や所有権保存登記を行うことが考えられます。
一方、取引条件や建物の状況によっては、買主側の対応を含めて協議する場合もあります。
ただし、売買契約で費用負担を定めたからといって、法令上の登記申請義務そのものが当然に消滅するわけではありません。
売主と買主のどちらが費用を負担するのかという問題と、誰に法令上の申請義務があるのかという問題は区別する必要があります。
第7章|未登記建物があると銀行融資に影響する?
未登記建物がある不動産では、銀行融資に影響する可能性があります。
例えば、買主が住宅ローンを利用して購入する場合です。
金融機関は、土地や建物の担保評価を行います。
その際、敷地内に未登記建物が存在すると、登記の整備を求められる場合があります。
金融機関が確認する理由
主な理由として、担保の範囲や所有関係の確認が挙げられます。
未登記建物では、建物の所有者や権利関係を登記記録から確認できません。
また、将来の担保処分や売却を考えるうえでも、権利関係の整理が必要になる場合があります。
住宅ローンと事業用融資では取扱いが異なる
住宅ローン、アパートローン、事業用不動産融資などでは、金融機関の審査基準や必要書類が異なります。
そのため、未登記建物があるから必ず融資が否決されるわけではありません。
ただし、金融機関から登記や撤去を求められる可能性はあります。
買主が融資を利用する場合には、売買契約を締結する前に金融機関へ確認することが重要です。
第8章|未登記の増築部分がある場合はさらに注意
未登記建物には、独立した倉庫や車庫だけでなく、母屋の増築部分もあります。
例えば、古い店舗兼住宅の裏側に増築した厨房です。
また、住宅の一部を広げて倉庫にしたケースなども考えられます。
登記面積と実際の床面積が違う
建物の登記事項証明書には、床面積が100平方メートルと記載されている。
しかし、実際に建物を確認すると、増築部分を含めて120平方メートル程度ある。
このような場合、建物表題部の変更登記が必要になる可能性があります。
ただし、建築基準法上の床面積と不動産登記上の床面積では、算定方法が異なる場合があります。
単純に面積が違うという理由だけで、未登記増築と断定することはできません。
増築部分が違法建築になっている可能性
増築時に必要な建築確認を受けていなかった場合や、建蔽率・容積率などの制限に適合していない場合には、建築基準法上の問題が生じる可能性があります。
一方、建築確認を受けていないという事実だけで、すべての増築が違法と決まるわけではありません。
増築時期、規模、地域、当時の法令などを確認する必要があります。
第9章|未登記建物は登記するべき?それとも解体するべき?
売却を検討する際には、主に次の選択肢があります。
① 登記を整備して売却する
未登記建物が今後も利用できる状態であり、買主が建物の利用を希望する場合には、登記を整備して売却する方法が考えられます。
金融機関の融資条件を満たすために、登記が必要になる場合もあります。
ただし、登記手続きには土地家屋調査士などへの報酬や登録免許税等の費用が発生する場合があります。
② 建物を解体して売却する
倉庫や車庫が老朽化している場合には、解体して土地として売却する方法も考えられます。
ただし、解体費用だけでなく、アスベストの事前調査、廃材処分、地中埋設物などにも注意が必要です。
また、建物を解体した後には、必要に応じて建物滅失登記や自治体への届出などを行います。
未登記建物の場合には、法務局の登記記録が存在しないため、自治体の課税台帳に関する手続きなどを確認する必要があります。
③ 現況のまま売却する
買主が未登記建物の存在を理解し、必要な対応について合意している場合には、現況のまま売却する方法も考えられます。
ただし、登記義務や所有関係、融資条件などの問題が残ることがあります。
そのため、単に「未登記のまま引き渡す」と決めるのではなく、必要な調査や手続きを整理することが重要です。
第10章|未登記建物があると買取価格は安くなる?
未登記建物があるという理由だけで、必ず買取価格が安くなるわけではありません。
重要なのは、建物の状態と買主の利用目的です。
利用価値のある倉庫や車庫
例えば、敷地内に鉄骨造の倉庫があり、買主が事業用として利用できる場合です。
倉庫の状態や用途によっては、建物に利用価値が認められる可能性があります。
老朽化している倉庫
一方、屋根が破損していたり、構造材が腐食していたりする場合には、買主が解体費用を見込む可能性があります。
登記費用が価格交渉の材料になる場合
買主が融資を利用するために登記の整備を求められた場合には、その費用や手続き期間が価格交渉に影響することも考えられます。
ただし、価格への影響は物件ごとに異なります。
未登記建物の存在だけで査定価格を決めるのではなく、建物の状態、利用価値、必要な手続きなどを総合的に判断することが重要です。
第11章|名古屋市内で未登記建物がある物件を売却する場合
名古屋市内でも、地域や土地利用によって未登記建物の状況は異なります。
大須・円頓寺
古い店舗兼住宅や倉庫などが残る物件では、増築部分や附属建物の登記状況を確認することが重要です。
また、建物が密集している場合には、解体時の隣地への影響にも注意が必要です。
名駅・栄・錦
古い商業ビルでは、屋上の増築部分、倉庫、機械室などについて、登記記録と現況が一致しているか確認したいところです。
今池・千種・金山
店舗兼住宅や事業用地などでは、後から設置された倉庫や車庫が存在する場合があります。
名古屋市郊外
敷地面積が比較的大きい戸建て住宅や事業用地では、母屋とは別に倉庫、物置、車庫などが建てられていることがあります。
特に、相続した不動産では、先代が設置した建物の登記状況を把握していないことも考えられます。
いずれの地域でも、実際の建物の状況と登記記録を照合することが重要です。
第12章|未登記建物がある不動産の売買契約で注意すること
未登記建物を含む不動産を売却する場合には、契約内容を明確にする必要があります。
売買対象を明確にする
土地だけを売却するのか。
母屋と倉庫を含めて売却するのか。
未登記建物を買主に引き渡すのか。
こうした点を明確にする必要があります。
未登記建物の所有関係
未登記建物が売主の所有物であることを確認する必要があります。
例えば、過去の借主や親族が建てた建物であれば、所有権の問題が生じる可能性があります。
登記費用の負担
売主が登記を整備するのか。
買主が取得後に手続きを進めるのか。
必要な費用をどちらが負担するのか。
これらを契約条件として整理します。
ただし、法令上の申請義務がある場合には、その義務との関係にも注意が必要です。
契約不適合責任
未登記建物の存在や状態について、買主に適切に説明することが重要です。
また、売主が把握している雨漏り、腐食、増築部分の不具合などについても、必要に応じて告知します。
契約不適合責任を免責する特約を設ける場合でも、売主が知りながら告げなかった事実については、民法572条などにより責任が問題となる場合があります。
売主が宅建業者である場合には、宅地建物取引業法上の制限にも注意が必要です。
第13章|よくある質問Q&A
Q1|敷地内に未登記倉庫があっても売却できますか?
売却できる可能性があります。ただし、建物の所有関係や登記義務、買主の融資条件などを確認する必要があります。
Q2|屋根付き駐車場は必ず登記が必要ですか?
いいえ。柱と屋根だけの開放型カーポートなどは、不動産登記上の建物に該当しない場合があります。
Q3|シャッター付き車庫は登記対象ですか?
構造や設置状況によっては、建物として登記対象になる可能性があります。
Q4|固定資産税を払っていれば登記されているということですか?
いいえ。固定資産税の課税と法務局の建物登記は別の制度です。
Q5|未登記建物があると住宅ローンは利用できませんか?
必ず利用できないわけではありません。ただし、金融機関から登記の整備や撤去を求められる場合があります。
Q6|未登記建物は必ず解体しなければなりませんか?
いいえ。建物の状態や利用目的によっては、登記を整備して利用する方法や、現況売却を検討する方法があります。
Q7|未登記建物の登記費用は売主と買主のどちらが負担しますか?
売買契約上の費用負担は当事者間で協議できます。ただし、法令上の申請義務との関係は別途確認が必要です。
Q8|古い物置でも登記が必要ですか?
物置の構造や土地への定着状況などによって異なります。小型の物置だから必ず不要というわけではありません。
Q9|未登記の増築部分があると売却できませんか?
売却できる可能性はあります。ただし、登記面積の変更や建築基準法上の問題、金融機関の融資条件などを確認する必要があります。
Q10|登記や解体をする前に査定を受けてもよいですか?
もちろんです。むしろ、費用を負担する前に現況のままで売却できるか確認することをおすすめします。
まとめ|未登記建物があっても、すぐに解体や登記をする必要があるとは限らない
敷地内に未登記の倉庫や車庫、物置などが存在する場合でも、不動産を売却できる可能性はあります。
ただし、未登記建物にはさまざまな種類があります。
建物として登記が必要な倉庫。
登記対象にならない場合がある開放型カーポート。
構造によって判断が異なる物置。
登記面積の変更が必要になる可能性のある増築部分。
これらをすべて同じように扱うことはできません。
また、固定資産税を払っているからといって、登記されているとは限りません。
銀行融資や将来の売却を考えると、登記の整備が必要になる場合もあります。
一方、老朽化した建物では、解体を検討することもあるでしょう。
しかし、売主が先に解体した方が必ず有利になるわけではありません。
重要なのは、未登記建物の状態と所有関係を確認し、現況売却・登記整備・解体のどの方法が適切なのかを比較することです。
売却できないと決めつける前に、まずは現在の状態で査定を受けてみてはいかがでしょうか。
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敷地内に未登記の倉庫がある。
古い車庫や屋根付き駐車場が残っている。
母屋とは別に物置がある。
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固定資産税の課税明細書と登記記録が一致していない。
相続した不動産に、誰が建てたか分からない倉庫がある。
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そのような段階からでも、お気軽にご相談ください。
名古屋市内で古い戸建て住宅や店舗兼住宅、工場、事業用地などの売却を検討していると、敷地内に登記されていない建物が存在する場合があります。
例えば、次のようなケースです。
母屋の横に、昔から使用している古い倉庫がある
敷地の奥に、先代が建てた物置が残っている
鉄骨造の屋根付き駐車場がある
シャッター付きの車庫がある
店舗の裏側に、後から増築した部分がある
工場の敷地内に、登記されていない作業場がある
プレハブの倉庫を長年使用している
建物の所有者自身が、未登記であることを知らない場合もあります。
特に、相続した不動産では、親や祖父母が建てた倉庫や車庫について、建築時期や工事内容を把握していないケースも考えられます。
そして、売却を検討した際に初めて、
「この倉庫、登記されていませんね」
と指摘されることがあります。
このような状況で、所有者が気になるのは次の点ではないでしょうか。
「未登記建物があっても売却できるのか?」
「売却する前に登記しなければならないのか?」
「屋根付き駐車場も登記が必要なのか?」
「固定資産税を払っているのに、なぜ未登記なのか?」
「登記するより解体した方がよいのか?」
結論から申し上げると、敷地内に未登記建物が存在していても、不動産を売却できる可能性は十分にあります。
ただし、未登記建物の種類、所有関係、金融機関の融資条件などによって、必要な対応は異なります。
今回は、名古屋市内の不動産売却を中心に、未登記の倉庫・車庫・物置・増築部分がある場合の注意点を、不動産実務の視点から詳しく解説します。
第1章|そもそも未登記建物とは?
未登記建物とは、建物が現実に存在しているにもかかわらず、法務局の建物登記簿に登記されていない建物をいいます。
例えば、敷地内に母屋と倉庫がある場合です。
母屋については建物の登記事項証明書が取得できる。
しかし、倉庫については登記記録が存在しない。
このような場合、倉庫が未登記建物である可能性があります。
ただし、母屋の附属建物として登記されている場合もあるため、主たる建物の登記記録まで確認する必要があります。
未登記建物が存在する理由
未登記建物が発生する理由には、さまざまなものがあります。
例えば、建築当時に登記手続きをしていなかった場合です。
また、母屋を建築した後、倉庫や車庫を増築したものの、登記を変更していない場合もあります。
古い建物では、所有者が何度も変わっているうちに、登記の状況が分からなくなっているケースも考えられます。
重要なのは、未登記であることと、違法建築であることは同じではないという点です。
未登記建物でも建築基準法に適合している場合があります。
反対に、登記されている建物であっても、建築基準法上の問題が存在する可能性があります。
登記の問題と建築基準法上の問題は、分けて考える必要があります。
第2章|未登記建物があっても土地・建物を売却できる?
結論として、売却できる可能性があります。
未登記建物が存在することだけを理由に、土地や建物の売買契約が一律に禁止されるわけではありません。
ただし、売買契約を締結できることと、所有権の移転や金融機関の融資手続きが円滑に進むことは別の問題です。
現況のまま売却する方法
例えば、古い住宅と未登記倉庫がある土地を売却する場合です。
買主が、住宅と倉庫を含めて現況のまま購入することを希望しているのであれば、売却方法を検討できます。
ただし、倉庫が誰の所有物なのか、建物として登記が必要なのか、買主が将来どのように利用するのかなどを確認する必要があります。
未登記のまま売却すると何が問題になる?
未登記建物では、登記記録によって所有権を公示できません。
そのため、買主が第三者に対して権利を主張する場面や、将来の売却、融資などで問題になる可能性があります。
また、売買対象に含まれる建物の範囲が不明確なまま契約すると、引渡し後のトラブルにつながるおそれがあります。
未登記のまま売却する場合でも、建物の所在、構造、面積、所有関係などを可能な範囲で確認し、契約内容を明確にすることが重要です。
第3章|屋根付き駐車場は登記が必要?カーポートと車庫の違い
未登記建物の相談で、特に判断が難しいのが屋根付き駐車場です。
例えば、敷地内に鉄骨製のカーポートがある場合です。
屋根はあるものの、周囲に壁はない。
柱と屋根だけで構成されている。
このような設備は、必ずしも不動産登記法上の建物に該当するわけではありません。
登記対象となる建物の判断基準
一般的に、建物として登記できるかどうかは、次の要素を踏まえて判断されます。
① 土地への定着性
基礎などによって土地に定着しているか。
② 外気分断性
屋根や周壁などによって、外部と区分された空間が形成されているか。
③ 用途性
その構造によって、建物としての用途に利用できるか。
これらを総合的に判断します。
柱と屋根だけのカーポート
一般的な柱と屋根だけの開放型カーポートは、不動産登記上の建物に該当しない場合があります。
そのため、登記されていないこと自体が問題ではないケースもあります。
シャッター付きの車庫
一方、周囲が壁で囲まれ、シャッターが設置されている車庫では、建物として登記の対象になる可能性があります。
鉄骨造や木造など、構造だけで判断するものではありません。
実際の形状や利用状況を確認する必要があります。
建築基準法上は別の判断になる
ここで注意したいのが、建築基準法です。
不動産登記上の建物に該当しないカーポートでも、建築基準法上は建築物に該当する場合があります。
つまり、登記が不要だからといって、建築確認や建蔽率などの問題がないとは限りません。
第4章|古い倉庫・物置・プレハブは登記が必要?
敷地内に設置されている倉庫や物置も、構造によって取扱いが異なります。
基礎のある倉庫
例えば、コンクリート基礎の上に建てられた木造倉庫です。
屋根や壁があり、継続的に物品の保管に使用している場合には、登記対象となる建物に該当する可能性があります。
小型の物置
ホームセンターなどで販売されている小型物置については、設置方法や構造によって判断が異なります。
簡単に移動できる設備なのか。
基礎に固定されているのか。
外気から区分された空間として利用されているのか。
こうした点が重要です。
プレハブ倉庫
プレハブだから登記不要というわけではありません。
土地に定着し、屋根や壁を備え、建物として利用されている場合には、登記対象となる可能性があります。
コンテナ倉庫
コンテナについても、設置状況や利用方法によって判断が異なります。
単に置かれているだけなのか、土地に定着して継続的に利用されているのかなどを確認する必要があります。
倉庫や物置の名称だけで登記の要否を判断せず、土地家屋調査士などの専門家に確認することが重要です。
第5章|固定資産税を払っているのに未登記?その理由とは
ここは、不動産所有者が誤解しやすい部分です。
「毎年、倉庫の固定資産税を払っているから登記されているはず」
そう考えている方もいるかもしれません。
しかし、固定資産税の課税と法務局の建物登記は別の制度です。
未登記建物にも固定資産税が課税される場合がある
固定資産税は、登記されている建物だけを対象としているわけではありません。
未登記建物でも、地方税法上の家屋に該当し、課税要件を満たす場合には、固定資産税の対象となります。
そのため、固定資産税の課税明細書には倉庫が記載されているのに、法務局には登記記録が存在しないというケースも考えられます。
固定資産税の課税明細書を確認する
古い不動産を売却する際には、固定資産税・都市計画税の課税明細書を確認することをおすすめします。
登記されている建物と、課税されている建物の内容が一致しているか。
敷地内にある倉庫や車庫が課税対象になっているか。
こうした点を確認することで、未登記建物の存在に気づく場合があります。
ただし、課税明細書に記載されていないからといって、必ず登記不要の設備であるとは限りません。
未登記家屋の所有者変更手続き
未登記家屋を売買する場合、自治体の固定資産税担当部署に対して、所有者変更に関する届出が必要となることがあります。
この届出は、法務局での所有権移転登記とは異なります。
また、届出をしただけで、登記上の所有権が公示されるわけではありません。
第6章|未登記建物には登記義務がある?罰則は?
不動産登記法では、建物を新築した場合、原則として所有者は所有権の取得の日から1か月以内に建物表題登記を申請する義務があります。
また、登記されている建物に増築などによる変更が生じた場合には、原則として変更の日から1か月以内に建物表題部の変更登記を申請する必要があります。
正当な理由なく申請を怠った場合には、10万円以下の過料の対象となる規定があります。
古い未登記建物でも登記義務は問題になる?
建物として登記対象となるものであれば、古い建物であることだけを理由に登記義務がなくなるわけではありません。
ただし、実際に登記できる建物なのか、誰が申請義務を負うのかなどは、個別の事情を確認する必要があります。
売却するなら必ず売主が登記する?
売買を円滑に進めるため、売主側で表題登記や所有権保存登記を行うことが考えられます。
一方、取引条件や建物の状況によっては、買主側の対応を含めて協議する場合もあります。
ただし、売買契約で費用負担を定めたからといって、法令上の登記申請義務そのものが当然に消滅するわけではありません。
売主と買主のどちらが費用を負担するのかという問題と、誰に法令上の申請義務があるのかという問題は区別する必要があります。
第7章|未登記建物があると銀行融資に影響する?
未登記建物がある不動産では、銀行融資に影響する可能性があります。
例えば、買主が住宅ローンを利用して購入する場合です。
金融機関は、土地や建物の担保評価を行います。
その際、敷地内に未登記建物が存在すると、登記の整備を求められる場合があります。
金融機関が確認する理由
主な理由として、担保の範囲や所有関係の確認が挙げられます。
未登記建物では、建物の所有者や権利関係を登記記録から確認できません。
また、将来の担保処分や売却を考えるうえでも、権利関係の整理が必要になる場合があります。
住宅ローンと事業用融資では取扱いが異なる
住宅ローン、アパートローン、事業用不動産融資などでは、金融機関の審査基準や必要書類が異なります。
そのため、未登記建物があるから必ず融資が否決されるわけではありません。
ただし、金融機関から登記や撤去を求められる可能性はあります。
買主が融資を利用する場合には、売買契約を締結する前に金融機関へ確認することが重要です。
第8章|未登記の増築部分がある場合はさらに注意
未登記建物には、独立した倉庫や車庫だけでなく、母屋の増築部分もあります。
例えば、古い店舗兼住宅の裏側に増築した厨房です。
また、住宅の一部を広げて倉庫にしたケースなども考えられます。
登記面積と実際の床面積が違う
建物の登記事項証明書には、床面積が100平方メートルと記載されている。
しかし、実際に建物を確認すると、増築部分を含めて120平方メートル程度ある。
このような場合、建物表題部の変更登記が必要になる可能性があります。
ただし、建築基準法上の床面積と不動産登記上の床面積では、算定方法が異なる場合があります。
単純に面積が違うという理由だけで、未登記増築と断定することはできません。
増築部分が違法建築になっている可能性
増築時に必要な建築確認を受けていなかった場合や、建蔽率・容積率などの制限に適合していない場合には、建築基準法上の問題が生じる可能性があります。
一方、建築確認を受けていないという事実だけで、すべての増築が違法と決まるわけではありません。
増築時期、規模、地域、当時の法令などを確認する必要があります。
第9章|未登記建物は登記するべき?それとも解体するべき?
売却を検討する際には、主に次の選択肢があります。
① 登記を整備して売却する
未登記建物が今後も利用できる状態であり、買主が建物の利用を希望する場合には、登記を整備して売却する方法が考えられます。
金融機関の融資条件を満たすために、登記が必要になる場合もあります。
ただし、登記手続きには土地家屋調査士などへの報酬や登録免許税等の費用が発生する場合があります。
② 建物を解体して売却する
倉庫や車庫が老朽化している場合には、解体して土地として売却する方法も考えられます。
ただし、解体費用だけでなく、アスベストの事前調査、廃材処分、地中埋設物などにも注意が必要です。
また、建物を解体した後には、必要に応じて建物滅失登記や自治体への届出などを行います。
未登記建物の場合には、法務局の登記記録が存在しないため、自治体の課税台帳に関する手続きなどを確認する必要があります。
③ 現況のまま売却する
買主が未登記建物の存在を理解し、必要な対応について合意している場合には、現況のまま売却する方法も考えられます。
ただし、登記義務や所有関係、融資条件などの問題が残ることがあります。
そのため、単に「未登記のまま引き渡す」と決めるのではなく、必要な調査や手続きを整理することが重要です。
第10章|未登記建物があると買取価格は安くなる?
未登記建物があるという理由だけで、必ず買取価格が安くなるわけではありません。
重要なのは、建物の状態と買主の利用目的です。
利用価値のある倉庫や車庫
例えば、敷地内に鉄骨造の倉庫があり、買主が事業用として利用できる場合です。
倉庫の状態や用途によっては、建物に利用価値が認められる可能性があります。
老朽化している倉庫
一方、屋根が破損していたり、構造材が腐食していたりする場合には、買主が解体費用を見込む可能性があります。
登記費用が価格交渉の材料になる場合
買主が融資を利用するために登記の整備を求められた場合には、その費用や手続き期間が価格交渉に影響することも考えられます。
ただし、価格への影響は物件ごとに異なります。
未登記建物の存在だけで査定価格を決めるのではなく、建物の状態、利用価値、必要な手続きなどを総合的に判断することが重要です。
第11章|名古屋市内で未登記建物がある物件を売却する場合
名古屋市内でも、地域や土地利用によって未登記建物の状況は異なります。
大須・円頓寺
古い店舗兼住宅や倉庫などが残る物件では、増築部分や附属建物の登記状況を確認することが重要です。
また、建物が密集している場合には、解体時の隣地への影響にも注意が必要です。
名駅・栄・錦
古い商業ビルでは、屋上の増築部分、倉庫、機械室などについて、登記記録と現況が一致しているか確認したいところです。
今池・千種・金山
店舗兼住宅や事業用地などでは、後から設置された倉庫や車庫が存在する場合があります。
名古屋市郊外
敷地面積が比較的大きい戸建て住宅や事業用地では、母屋とは別に倉庫、物置、車庫などが建てられていることがあります。
特に、相続した不動産では、先代が設置した建物の登記状況を把握していないことも考えられます。
いずれの地域でも、実際の建物の状況と登記記録を照合することが重要です。
第12章|未登記建物がある不動産の売買契約で注意すること
未登記建物を含む不動産を売却する場合には、契約内容を明確にする必要があります。
売買対象を明確にする
土地だけを売却するのか。
母屋と倉庫を含めて売却するのか。
未登記建物を買主に引き渡すのか。
こうした点を明確にする必要があります。
未登記建物の所有関係
未登記建物が売主の所有物であることを確認する必要があります。
例えば、過去の借主や親族が建てた建物であれば、所有権の問題が生じる可能性があります。
登記費用の負担
売主が登記を整備するのか。
買主が取得後に手続きを進めるのか。
必要な費用をどちらが負担するのか。
これらを契約条件として整理します。
ただし、法令上の申請義務がある場合には、その義務との関係にも注意が必要です。
契約不適合責任
未登記建物の存在や状態について、買主に適切に説明することが重要です。
また、売主が把握している雨漏り、腐食、増築部分の不具合などについても、必要に応じて告知します。
契約不適合責任を免責する特約を設ける場合でも、売主が知りながら告げなかった事実については、民法572条などにより責任が問題となる場合があります。
売主が宅建業者である場合には、宅地建物取引業法上の制限にも注意が必要です。
第13章|よくある質問Q&A
Q1|敷地内に未登記倉庫があっても売却できますか?
売却できる可能性があります。ただし、建物の所有関係や登記義務、買主の融資条件などを確認する必要があります。
Q2|屋根付き駐車場は必ず登記が必要ですか?
いいえ。柱と屋根だけの開放型カーポートなどは、不動産登記上の建物に該当しない場合があります。
Q3|シャッター付き車庫は登記対象ですか?
構造や設置状況によっては、建物として登記対象になる可能性があります。
Q4|固定資産税を払っていれば登記されているということですか?
いいえ。固定資産税の課税と法務局の建物登記は別の制度です。
Q5|未登記建物があると住宅ローンは利用できませんか?
必ず利用できないわけではありません。ただし、金融機関から登記の整備や撤去を求められる場合があります。
Q6|未登記建物は必ず解体しなければなりませんか?
いいえ。建物の状態や利用目的によっては、登記を整備して利用する方法や、現況売却を検討する方法があります。
Q7|未登記建物の登記費用は売主と買主のどちらが負担しますか?
売買契約上の費用負担は当事者間で協議できます。ただし、法令上の申請義務との関係は別途確認が必要です。
Q8|古い物置でも登記が必要ですか?
物置の構造や土地への定着状況などによって異なります。小型の物置だから必ず不要というわけではありません。
Q9|未登記の増築部分があると売却できませんか?
売却できる可能性はあります。ただし、登記面積の変更や建築基準法上の問題、金融機関の融資条件などを確認する必要があります。
Q10|登記や解体をする前に査定を受けてもよいですか?
もちろんです。むしろ、費用を負担する前に現況のままで売却できるか確認することをおすすめします。
まとめ|未登記建物があっても、すぐに解体や登記をする必要があるとは限らない
敷地内に未登記の倉庫や車庫、物置などが存在する場合でも、不動産を売却できる可能性はあります。
ただし、未登記建物にはさまざまな種類があります。
建物として登記が必要な倉庫。
登記対象にならない場合がある開放型カーポート。
構造によって判断が異なる物置。
登記面積の変更が必要になる可能性のある増築部分。
これらをすべて同じように扱うことはできません。
また、固定資産税を払っているからといって、登記されているとは限りません。
銀行融資や将来の売却を考えると、登記の整備が必要になる場合もあります。
一方、老朽化した建物では、解体を検討することもあるでしょう。
しかし、売主が先に解体した方が必ず有利になるわけではありません。
重要なのは、未登記建物の状態と所有関係を確認し、現況売却・登記整備・解体のどの方法が適切なのかを比較することです。
売却できないと決めつける前に、まずは現在の状態で査定を受けてみてはいかがでしょうか。
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名古屋仏縁不動産では、名古屋市を中心に愛知県全域で、売却が難しい不動産のご相談に対応しています。
敷地内に未登記の倉庫がある。
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そのような段階からでも、お気軽にご相談ください。
※本記事は2026年時点の一般的な不動産登記、固定資産税、不動産売買について解説したものです。個別物件の登記の要否や法令上の取扱いについては、土地家屋調査士、司法書士、建築士、税理士などの専門家へご確認ください。
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